ミミ
絵本作家を目指している方や、いつか自分の作品を「本」として形にしたいと思っている方には、いくつか知っておくことがあります。
その一つが印刷用語。
印刷用語には、これどういう意味?というものが結構あるのでは。
あまりよく分からないまま入稿をして、出来上がってみたら「色が変!」「文字がはみ出した!」ということのないようにしたいものです。
とりあえず、「入稿」という言葉にすでにつまづいている方、下記の用語を覚えておけば、印刷のトラブル回避にもなります。
目次
印刷について
オフセット印刷
版に各色のインクをつけて、枚葉機や輪転機を用いて刷ります。新聞や書籍など一般的によく使われている印刷方法。特徴として、鮮明できれい、大量印刷に向いています。
オンデマンド印刷
版を使わず、デジタルデータから直接カラーレーザー印刷機で刷ります。特徴として、仕上がりが早く、少部数の印刷に向いています。技術の向上で仕上がりもきれいになっています。
紙について
紙の種類
上質紙…上質という言葉に惑わされがちですが、一般的によく使われているコピー用紙の紙です。値段はお安いのですが、紙が薄めでインクがにじみやすいです。
コート紙…表面をコート加工してあり、ツルッとした発色の良い仕上がりです。指紋や傷が目立ちやすいので、濃い色を多く使うときは注意。
マットコート紙…コート紙にマット加工がしてあり、コート紙より落ち着いた雰囲気に仕上がります。
紙のサイズ
日本工業規格であるA判、B判を基本にサイズを決めます。(その他に、四六判、菊判などもあります)
絵本には正方形など、下記の判の一片を断裁した変形サイズもあります。
絵本の世界を表現するのに、絵本の大きさは重要な役割を果たすこともあるので(例:100かいだてのいえ、ほんとのおおきさ動物園など)、紙のサイズは把握しておきましょう。
A判 | サイズ(mm) | B判 | サイズ(mm) |
A0 | 841 × 1189 | B0 | 1030 × 1456 |
A1 | 594 × 841 | B1 | 728 × 1030 |
A2 | 420 × 594 | B2 | 515 × 728 |
A3 | 297 × 420 | B3 | 364 × 515 |
A4 | 210 × 297 | B4 | 257 × 364 |
A5 | 148 × 210 | B5 | 182 × 257 |
A6 | 105 × 148 | B6 | 128 × 182 |
原稿について
トンボ
トンボは印刷するためには必要です。紙を断裁する目印、また印刷時、4色(CMYK)の版を重ね合わせるために必要となります。
塗り足し
塗り足しとは、バックの色や絵が仕上がりのサイズよりはみ出す場合、仕上がりサイズより3mm以上余分に塗り足すことです。サイズぎりぎりに作ってしまうと、印刷や裁断のズレで白場ができてしまいます。
のど・小口
本を開いたとき、内側の部分を「のど」、外側の部分を「小口」と言います。紙の厚さやページ数にもよりますが、のどの部分に重要な絵や文字が入ると、開いたときに見えなくなってしまうので注意しましょう。
ノンブル
本のページ番号のことです。絵本にはノンブルをつけない場合があります。
台割表
絵本(冊子)の内容をページ順に書いた一覧表です。冊子は4の倍数ページでしか印刷ができませんので(16ページ、20ページ、24ページ…等)、台割表を作っておけば、最後になってページが足りなかった!という事態が回避できます。(経験有り…ボソ)
入稿
印刷会社に完成した原稿を渡すことを「入稿」と言います。
デジタル制作について
デジタル制作とは
パソコンでDTPソフトなどを使用して作ること。
アウトライン化
フォント(パソコン上で使う書体のこと)の文字情報を線画にすること。入稿時に使用している全てのフォントをアウトライン化しておかないと、文字化け(別のフォントに置き換わってしまう)が起こります。
解像度
画像の解像度(dpi)が高いほど鮮明できれいで、印刷物に必要な解像度は300〜350dpiです。これより少ないとぼやけた画像に、高すぎるとデータが重くなりトラブルの原因にもなります。
CMYK
C=シアン、M=マゼンタ、Y=イエロー、K=ブラックの4色のこと。印刷物の色は基本的にCMYKの掛け合わせで表現されています。モニターなどの画面は「RGB」で色を表現しています。画像をRGBで入稿してしまうと、沈んだ色で印刷されてしまうので、必ずCMYKに変換しましょう。
製本について
無線綴じ
本文の背に接着剤を付け、表紙でくるみます。ページが取れやすいので、絵本にはあまり向いていません。
ミシン綴じ(中綴じ)
本の中央を糸ミシンで綴じます。しっかりしていますが、ページ数が多いと難しいです。
糸かがり綴じ
本文の背を糸で縫うように綴じます。丈夫な綴じ方で厚い本に向いています。
最後に
「本」として出来上がったものが全ての結果になります。
自分のイメージ通りに出来上がるために、印刷の知識を身につけておくことは大切ですね。
私は今まで印刷会社を3社ほど転々としましたが、年々デジタル技術の発展というものを目の当たりにしました。
自分が知っている情報がすでに古い情報になっていた、ということはザラにあったので、技術発展の流れは常に意識しておくのは大事です。
みなさんも印刷の知識を深め、ご自身の絵本が満足のいくものになるといいですね。