「シンボルとブレンドで建物を描く」後編です。
ここではブレンド機能を中心に建物の完成までをご説明していきます。
「シンボルとブレンドで建物を描く①」はこちら
【Illustrator使い方の練習】シンボルとブレンドで建物を描く①
Illustrator『ブレンド』とは
[ブレンド]ツールで色や形の違う2つ以上のオブジェクトをクリックすると、色や形が混じり合って自然な形にブレンドされたオブジェクトにすることができます。
また、ブレンドの[ステップ数]で数値を指定すると、その数だけ均等に配列されます。(今回はこちらの機能を使います)
パスのオブジェクトの場合、クリックするパスの位置でブレンド結果が変わるので、同じ形を保って均等にしたい場合は、パスは同じところをクリックしましょう。
下記画像は同じオブジェクトをブレンドしたものですが、クリックした箇所が違うのでブレンド結果が変わりました。赤丸がクリックしたパスです。
【建物を描こう③】ブレンドで均等に配列
「シンボルとブレンドで建物を描く①」で作成した窓枠(シンボルインスタンス)を使って、ブレンドで均等に配列する機能について説明をしていきます。
- STEP.1シンボルを2つ用意
配置した窓枠を選択し、「 Mac ⌘ + option + shift 」「 Winctrl + alt + shift 」を押しながら左右どちらかに引っ張り、平行にコピペします。
2つの窓枠の距離を適当に空けておきます。
- STEP.2ブレンドで均等に増やす
ツールボックスから[ブレンド]ツールを選択し、2つの窓枠をクリックすると、均等に窓枠が4つに配置されました。
注)ブレンドにすると、元になっているオブジェクト以外は選択(変更)ができません。[拡張]すると選択可能になります。(→STEP.5)
- STEP.3ブレンドの数を変更
ブレンドの数を増やしたい場合は、ツールボックスの[ブレンド]ツールをダブルクリックして[ブレンドオプション]パネルを表示させます。
[間隔:ステップ数]の数値を2→3に変更。ステップ数は元になっている2つの窓枠はカウントされません。
- STEP.4左右の距離を変える
左右の距離を変えたい場合は、ダイレクト選択ツール(白矢印)で右か左どちらかのインスタンスの「 + 」のあたりをクリックしてブレンド軸(写真青線)を出します。
ブレンド軸の端にあるアンカーポイント(写真赤丸)を移動すると、均等を保ったまま距離が変更できます。
- STEP.5ブレンドの解除と拡張
ブレンドを解除・拡張する場合は、オブジェクトを選択した状態でメニューバーの[オブジェクト]→[ブレンド]→[解除]、拡張は解除の二つ下にある[拡張]をクリックします。
[解除]はブレンドされたものが元のオブジェクトに戻り、[拡張]はブレンドされたオブジェクトが個々に選択・編集できる状態になります。
ブレンド以外にも[整列]を使えばオブジェクトを均等に配置ができます。
上部メニューバー[ウィンドウ]→[整列]パネルを表示。
下記画像のバラバラに配置された窓枠を横均等に並べます。
整列させたい窓枠を全て選択してから、[整列]パネルの[オブジェクトの整列](下記画像①)、次に[オブジェクトの分布](下記画像②)。
これで均等に配置されました。他にも[整列]パネルには上揃えや下揃え、垂直などに使えます。
たいへん手軽で便利な機能ですが、左右(上下)の間隔を変えたい、オブジェクトの数を増やしたいなど、後からの変更は最初からやり直さなくてはいけないのが難点です。
大量に作るものだったり、後から変更する可能性のあるものは[ブレンド]機能を使った方が効率が良いです。
【建物を描こう④】全体を仕上げて完成
作ったパーツたちを配置して、建物を仕上げていきます。ここからがやっと楽しい作業です…多分。
- STEP.1窓枠の配置
建物の大きさを決め、パーツたちを配置していきます。
- STEP.2細部の作り込み
シンボルとブレンドを駆使し、全体のバランスを見ながら柱やベランダ枠やらの作り込みをしていきます。
面倒ではありますが、繰り返し作業を行なっていると、そのうち効率よくできるようになるので、ちまちまがんばりましょう。
同色の明暗をつけて影っぽくすると全体にメリハリがでます。
アピアランスの[ドロップシャドウ](メニューバー→アピアランス→ドロップシャドウ)を使うと自然な影を作れます(下記画像)が、アピアランス機能は多用するとデータが重くなるので、使い所は厳選しましょう。
- STEP.3休憩する
ひと通りできたところで、ちょっと一息入れます。休憩は必要です。
休憩後、仕上げたものを冷静に客観的に見てみましょう。
- STEP.4[共通の選択]で色を変える
完成!…なんか色味が地味。。( ;∀;)
ということで、全体の色を変えてみます。STEP.3で一息入れてなかったら、ここでやめてました…独り言。
変更したい色のオブジェクトを選択し、メニューバー[選択]→[共通]→[カラー(塗り)]とすると、同じ塗りの色を全て選択してくれます。(線などの選択もできます)
選択された状態。
この場合、シンボルインスタンスのカラーも選択されます。シンボル登録時に「ダイナミックシンボル」にチェックを入れていないと変更はされません。
(→「シンボルとブレンドで建物を描く①」【建物を描こう②[STEP2.]】)
ただし、シンボル自体は変更されていません。シンボルも変更したい場合は、シンボルの編集画面から行うか、置き換えをしましょう。
(→「シンボルとブレンドで建物を描く①」【建物を描こう②[STEP4.]】)
- STEP.6変化をつける
少し変化をつけたいので窓の色をいくつか変えてみます。
変更したい箇所のブレンドを[拡張](→【建物を描こう③[STEP5.]】)、
次にシンボルのリンクを[解除](→【建物を描こう②[STEP4.]】)。
グループ化されているので解除します。メニューバー→[オブジェクト]→[グループ解除]( Mac ⌘ + shift + G 、 Winctrl + shift + G )。
これで個々に選択できるので、アレンジしてみましょう。
- 完成!
お疲れ様でした!(自分に言う)
まとめ
シンボルは、登録しておけばいつでも呼び出せて、データが軽く、一括編集できる、置き換え可能、解除しなければ編集されない(データの保護)というメリットがあります。
ブレンドは、色や形の違うオブジェクトを自然な形にブレンドさせる他に、オブジェクトを均等に配列させることができます。
二つ共通しているメリットは、後からの修正が可能ということです。
Illustratorを使いこなすためには、効率よく作業をするというのは大事な要素。
ぜひシンボルとブレンド機能をマスターして、Illustratorを効率的に使いこなしてください。
復習する
【Illustrator使い方の練習】シンボルとブレンドで建物を描く① 余談ですが…今回の見本の建物の色味は、映画『グランド・ブダペスト・ホテル』を参考にしてみました。
おしゃれで小粋、砂糖菓子のような映画でおすすめです。
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