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やなせたかしの絵本は少し悲しくて切なくて、ずっと心に残ります

やなせたかし氏といえばアンパンマンですね。でもアンパンマン以外でもおすすめしたくなる絵本はたくさんあります。今回ご紹介するのは、少し悲しくて切なくて心に残る、そんな絵本です。やなせたかし氏のメッセージを受け取ろう!

ミミです




やさしいライオン

臆病なライオンの子供ブルブルは、やさしい犬のムクムクに育てられます。ある日、ブルブルは動物園へと連れて行かれ、ムクムクと離れ離れになってしまいます。その後ブルブルはサーカスへと引き取られ、人気者になります。そんなある夜、ブルブルはムクムクの子守唄を聞きました。「おかあさんだ!」ブルブルは檻をやぶり、町へと飛び出します。年老いたムクムクと再会を果たしましたが、ブルブルを追ってきた人間たちに…

ライオンのブルブルと犬のムクムク、親子の愛情が詰まっているお話です。

この絵本では人間たちが「悪者」として描かれていますが、動物にも人間と同じくらい命の重みがある、ということを伝えたかったのでしょうね。

悲しいお話ですが、最後のページで少し救われた気持ちになります。

 

チリンのすず

おおかみのウォーに母親をころされた子ひつじのチリン。ウォーに復讐するため、チリンは弟子になりたいと言ってウォーに近づきます。嫌われ者のウォーは戸惑いながらも、チリンを強いひつじへと育てます。3年の月日が経ち、チリンはたくましく強いひつじになりました。ある夜、2匹はひつじ小屋を襲うため二手に別れました。そしてチリンはウォーを襲います。復讐を果たしたチリンでしたが、その直後、大切なことに気がついたのです。

ひつじを襲っていたウォーは本当の悪者ではなく、愛情という感情を持っていました。ただ、その相手はチリンしかいませんでした。

そのチリンは最後までウォーの愛情に気づくことができなかったことが、とてもせつないです。

相手の一面だけを見ていては、真実を見逃してしまいます。

いじわるだと思っているお友達も実はそうじゃないかも?と、この絵本を読んで、子供に教えてあげたいですね。




キラキラ

「キラキラ」という怪物の住む山がありました。ある日、勇ましいキリは、キラキラを退治するため山に向かいました。しかしキリは帰ってきませんでした。兄のキルは弟を探しに山を登ります。そこでキリを襲っている、一つ目の全身毛むくじゃらの怪物キラキラを見つけました。キルは弟を助けるため、弓矢を放ち命中させます。ところが、キラキラは毒蛇にかまれたキリを助けているところだったのです。後悔して謝るキルにキラキラは「もっとはやく知り合えば……ともだちになってあそべたのに」と言い、息を引き取ります。

自分たちとは違う見た目ということで「怪物」と呼ばれていたキラキラ。そのキラキラは自分とは違う姿の人間たちがおそろしくて、ずっと山に隠れていました。

自分たちとは違う、という点では、子供よりむしろ大人の方が先入観が強いですよね。

考え方、生活、信じているものなど、自分が共感できない部分が多い相手ほど、どこか境界線を引いていませんか?

子供のようにフラットに物事を考えられなくなったのはいつからなんだろう、とつい考えてしまいます。大人にもおすすめしたい絵本です。

 

最後に

今回ご紹介したやなせたかし氏の絵本は、少し悲しくて切ない作品です。

でも悲しいというだけではなく、どの作品にも共通しているのが、相手を思いやる気持ちが丁寧に描かれているということ。

本当に相手を思いやる気持ちが持てるようになるには、自分が強くならなくてはいけない。

そのことをアンパンマン、ブルブル、チリン、キルとキリが教えてくれます。

相手を思いやること、強くなること、そんなメッセージがやなせたかし氏の絵本から感じられます。

やなせたかし氏の絵本をぜひ子供と一緒に読んでほしいと思います。

 

『アンパンマン』絵本はこちらで紹介しています。

おすすめアイコン 初代「あんぱんまん」の絵本はとっても魅力的!顔のない正義のヒーロー

 

プロフィール

●やなせたかし(本名/柳瀬 嵩)1919年2月6日~2013年10月13日

●高知県出身

●漫画家、絵本作家、イラストレーター、詩人、雑誌編集者、作詞家、演出家等

●代表作品/アンパンマンシリーズ、やさしいライオン、チリんのすず、手のひらを太陽に(作詞)、アンパンマンのマーチ(作詞)




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