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かこさとし絵本『宇宙 そのひろがりをしろう』 すんなり入り込める科学の絵本

2018年5月2日に永眠された加古里子さんは『からすのパンやさん』『だるまちゃんとてんぐちゃん』など多くのロングセラーの絵本を生み出してきました。今回は、加古里子さんの科学の絵本『宇宙 そのひろがりをしろう』をご紹介いたします。

ミミです

出典:宇宙 そのひろがりをしろう(加古里子 作・絵)/福音館書店

 

絵本情報

◆出版社/福音館書店

◆対象年齢/小学校低学年〜

◆著者/加古 里子(作・絵)

◆発行/1978年11月

◆ページ数/68ページ

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『宇宙 そのひろがりをしろう』
あらすじ

ノミのジャンプから始まり、動物の走る速度、世界の建造物の高さ、飛行機やロケットの飛ぶ距離、そしてついには地球から宇宙へと飛び出して、果てしない宇宙の広がりまでを、細かな情報を盛り込みながら解説していきます。

地球が主役ではなく、あくまで「宇宙」を主役とした果てしない物語。

出版社からの内容紹介
宇宙はいったいどれほど広く、その果てはどうなっているか? 巨大な宇宙の広がりをテーマに望遠鏡やロケットの歴史、星の進化とその一生、宇宙有限論までを紹介した科学絵本。




『宇宙 そのひろがりをしろう』
みどころ

興味深い比較の数々

みなさんはノミのジャンプ力をご存知でしょうか?なんと25cmの高さを飛べるんですよ!

…と言われてもピンときませんね。でも、人が170m飛べると言われると驚きませんか?

ノミと人間のジャンプ力の比較のように、この絵本にはいろいろな興味深い比較をしています。

高さや距離、速度などの比較、また歴史的な数字の比較が、豊富に盛り込まれています。

例えば、高さの比較では奈良の大仏14.7m、バオバブの木20m、自由の女神像55mなど、また飛ぶ距離の比較ではカモ2,000km、コウノトリ1.3万km、おもちゃの風船1.43万kmなど。風船すごい!

歴史的な数字では、人工衛星の打ち上げられた年と速度の比較、スプトニーク1号(1957年)227〜947km、エクスプローラー1号(1958年)339〜1,507km、気象衛星タイロス1号(1960年)688〜749kmなどなど。

この絵本は1978年初版なので、載っている情報は古いのですが(当時の陸上選手の記録など)、それがまた歴史を感じて楽しい!

隅々まで見たくなるレイアウト

数字の情報たちを飽きることなく見せているイラストとレイアウトが素晴らしいです。

イラストはとても丁寧に描写されており、全てにリアリティを感じます。

また、距離や高さのメモリがページの端に表記してあったり、物体がどのように動くかを表した動線が円を描いたり、くねくね曲がったり、くるくる回転したりとページのあちこちに描かれています。

絵も文字もぎっしりだと読む気持ちが萎えたりしますが、このメモリの表記、動きのわかる動線、また大胆なレイアウトなど、じっくりと隅々まで見たくなる工夫が随所にしてあります。

出典:宇宙 そのひろがりをしろう(加古里子 作・絵)/福音館書店

 

二段打ち上げ方式

この絵本は2部構成になっていて、これを加古里子さんは「二段打ち上げ方式」と表現されています。(『宇宙 そのひろがりをしろう』解説より)

第一段で地球から離れるまでの準備やその方法、そして第二段で大宇宙空間への壮大な旅へ、という展開です。

1場面、1場面を丁寧に進めているから、小さなノミの話から、最後、宇宙のすべての姿が見えるところまでがとてもスムーズに話がつながっています。

思わずうなってしまうくらいの手際の良さに、改めて加古里子さんという作家を尊敬せずにはいられません。

出典:宇宙 そのひろがりをしろう(加古里子 作・絵)/福音館書店




宇宙や科学に興味を持った子、必見!

『宇宙 そのひろがりをしろう』をぱらぱらっと見ると、絵本というより科学の図鑑のような印象を受けます。

でも読み終えてみると、これは図鑑でははく絵本なんだなと感じます。

子供たちにとって絵本を読むというのは、その絵本の物語の中に入っていくことだと思います。絵本の中のヒーローになったり、動物になったり、冒険をしたり。

そんな風に、この宇宙の物語の中へとすんなり入っていける、そんな科学の絵本です。

とくに第二段からの場面。読み進めるうちに、だんだんと宇宙のひろがりを感じることができます。

そして宇宙という未知の世界が見れるように、私たちの想像力の手助けをしてくれています。

宇宙や科学に興味を持った子のスタートダッシュとして、『宇宙 そのひろがりをしろう』は最適な絵本です。

 

最後、この物語はこう締めくくっています。

この おおきな うちゅうは にんげんが はたらいたり かんがえたり たのしんだり するところです。

この ひろい うちゅうが あなたの かつやくするところです。

では うちゅうのはてからおわかれします。さようなら!

なんともスケールの大きな言葉ですね。

この本から、宇宙のひろがりを感じてみてください。

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最後に

2018年5月2日92歳で永眠された加古里子さん、数多くの素晴らしい絵本を残していただいたことに感謝!です。

ご冥福をお祈りいたします。

作者プロフィール

◆加古里子(1926年〜2018年)

◆福井県出身

◆絵本作家、工学博士、技術士

◆『かわ』産経児童出版文化賞大賞(1963年)、『だるまちゃんとてんぐちゃん』産経児童出版文化賞(1970年)、『かこさとし かがくの本 全10巻』産経児童出版文化賞推薦(1969年)、『海』(1970年)『とこちゃんはどこ』(1971年)『あなたのいえ わたしのいえ』(1973年)児童福祉文化賞、他、土木学会著作賞、日本科学読物賞、日本化学会特別功労賞、日本児童文学学会特別賞、日本保育学会文献賞、巌谷小波文芸賞などを受賞




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