ミミ
いろいろな絵本にカエルは登場していますが、臆病者だったり、意地悪だったり、その位置づけは絵本によってさまざま。
あのビジュアルのせいか、見る人によってイメージが大きく違うカエル。
今回ご紹介する絵本は、カエル好きの方はもちろん、カエルにそれほど興味のない方でも、絵本としてとてもおもしろいので、ちょっと手に取って、読んでいただけたらなと思います。
最後にご紹介している絵本は別として…。
目次
ふたりはともだち
出典:ふたりはともだち(アーノルド・ローベル 作、三木卓 訳)/文化出版局
ともだちって、素敵
カエル絵本の代表作とも言えるアーノルド・ローベルの『ふたりはともだち』。仲良しのがまくんとかえるくんの、ちょっとした日常の出来事をユーモラスに描いたお話が5話収録されています。
ふたり(二匹?)の年齢は定かではありませんが、がまくんのやることなすことがお子ちゃまで、何かと問題を起こします。そんながまくんを温かく見守り、励まし、助けてくれるちょっぴり大人のかえるくん。
このふたりの距離感、お互いの信頼度のバランスがうらやましいくらい理想的です。
ともだちっていいな、そんなことを改めて感じさせてくれて、どれも素朴なストーリーとおちゃめなイラストに心癒されます。
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ゆかいな かえる
出典:ゆかいな かえる(ジュリエット・ケペシュ 文・絵、石井 桃子 訳)/福音館書店
なんだかとにかく楽しそう!
卵からおたまじゃくしに、そしてかえるへと成長した4匹の兄弟。もぐったり、泳いだり、遊んだり、時にはサギに狙われたりもしますが、 日々を楽しく過ごします。…と、なんてことないストーリーですが、このかえるたち、何をするにも、とにかく楽しそうなんです。
いたずらっ子のように忙しく遊び回るかえるたちは、おもちゃがなくても自分たちで遊びを見つける子供のよう。この絵本を見るたびに、子供のときの遊びへの期待感を思い出します。
初版は1964年ですが、今見ても古さを感じないイラスト、色の使い方にセンスを感じます。グラフィック的にも見応えのある絵本。作者のジュリエット・ケペシュは「生きものたちの動くフォームが、何よりの絵の教師」だと言っていますが、確かによく観察されているなと思います。
特にかえるのお尻がとてもキュート。ぜひご覧あれ。
カエルのおでかけ
出典:カエルのおでかけ(高畠 那生 文・絵)/フレーベル館
雨の日にはこの絵本!
外は大雨。でもカエルはピクニックセットを持って意気揚々と出かけていきます。
だって、カエルは雨が好きなんです。大雨でどこもかしこもびしょびしょだと、さらに大喜びなんです。カエルですから!
大雨の公園で、半分水に浸かりながら、でろでろのカツバーガーを幸せそうに食べるカエル。なんだかこちらまで幸せな気分になります。
この絵本を読むと、雨に濡れて服が汚れたり、湿気で髪が膨らんだり、洗濯物が乾かなかったり、なんて些細なことにイライラせずに、大らかな気持ちになれる…かも?
カエルの発明したちょっと危険な「びしょぬれかさ」も必見。
てがみをください
出典:てがみをください(山下 明生 文・村上 勉 絵)/文研出版
ちょっぴり切なくて、後引くお話
ぼくの家の郵便箱の中に住みついたかえる。
かえるは郵便箱の中に入れられる手紙を見て、自分も欲しい思うようになります。手紙をどうしたらもらえるのかをぼくに教わり、せっせっと手紙を書いたけど、返事がこない。そのうち、かえるは出て行ってしまった。手紙を送っていた相手は…。
このかえる、ちょっと強がってみせるところ、いじらしいところ、不器用なところなんかが、なんとなく昭和のガンコオヤジっぽい人間味が感じられて、好感を持ってしまう。
最後はちょっぴり切なくて、このかえるに思いを馳せてしまう、そんな物語です。
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かようびのよる
出典:かようびのよる(デヴィッド・ウィーズナー 文・絵、当麻 ゆか 訳)/徳間書店
リアリティとファンタジー、不思議な世界
カエルたちが群れをなして飛んでいます。ハスに乗って…
ある火曜日の夜、ハスに乗ったカエルたちが空を飛び、庭を横切り、家の中にまで現れ、そしてまた空へ。
ほとんど文字はなく、リアルに描かれたカエルたち、相反した空想的な物語は、どこかサイレント映画を見ているような雰囲気。
カエルたちの遊泳している姿が紙面いっぱいあちこちに描かれています。カエル好きさんには満足していただけるかと思われる一冊。
最後のオチは、なるほど、そうきたか。
いばりんぼうのカエルくんと
こわがりのガマくん
出典:いばりんぼうのカエルくんとこわがりのガマくん(松橋 利光 著)/ アリス館
ドキュメンタリー写真絵本…自然界は厳しいのだ
カメラマンである松橋利光さんの写真絵本。
左から開けば「いばりんぼうのカエルくん」、右から開けば「こわがりのガマくん」、2つのお話が入っています。
愛らしいカエルたちの写真(ガマくんの方は好き嫌いあるかも)、それに楽しい文章とふきだしで、読んでいると和んできます。
…が、カエルくんのお話には衝撃のラスト。急に現実世界へと引き戻されます。自然界で生きることの厳しさをさらりと学べます。
松橋利光さんの素敵な写真を堪能しつつ、物語としてもおもしろく、さらにカエルの生態を学ぶことができ、しかも2つのお話が楽しめるという、カエル好きには贅沢な絵本。
Croak! 世界の不思議なカエル
出典:Croak! 世界の不思議なカエル(黒川宇吉 著、海老沼剛 監修)/実業之日本社
カエル愛が伝わってくるイラスト図鑑
こちらは絵本ではなく、カエルのイラスト図鑑です。
著者の黒川宇吉さんが学生時代に卒業制作で作ったカエルのイラスト図鑑がTwitterで話題となり、書籍化されたものです。
絵の完成度の高さもさることながら、それぞれのカエルの特徴をうまく表して擬人化してるので、普通の図鑑よりも理解が深まりそう。解説も楽しく、かみくだいて説明されているので、読んでいて飽きがこないです。むしろ隅々まで見て、読みたくなります。
この図鑑から全体的に感じるのは「遊び心」と「カエル愛」。
カエル好きなあなた、『Croak! 世界の不思議なカエル』を手に取って、カエル愛を感じてみましょう。
みぃ〜つけた!
出典:みぃ〜つけた!(はるぼーはは 文・絵)
最後に選んだものは…
前ページモノクロ、文字無しの絵本。
次々と目の前にあらわれるご馳走。どの獲物に狙いを定めようかと迷っていると…
生物の本能を題材にした、ちょっぴり大人の絵本。
あ、これ、私、管理人の描いた絵本です。さらっと宣伝。
下記で公開いたしておりますので、よろしければお越しください。お暇な方のみ限定です。↓
絵本『みぃ〜つけた』みなさん、お気に入りのカエル本が見つかるといいですね♪