今回は手描きの線画イラストを、Illustratorの「画像トレース」でパス(ベクター)化する方法と「ライブペイント」で色を付ける方法をご紹介いたします。
画像トレースとライブペイント、どちらも簡単で便利な機能ですので、ぜひ試してみてください。
(使用ソフトは Adobe Illustrator CC、Mac使用)
Photoshopで手描きイラストをデータ化する方法はこちら
【Photoshop】手書きの線画イラストをデータ化する方法
用意するもの
-
線画イラスト(黒1色)
- スキャナーまたはスマホカメラ
鉛筆など色の薄い線や濃度が違うイラストだと、細かい線が潰れてしまい、うまくトレースができないので、イラストは黒のペンで描いたものを用意しましょう。
太い線の方が仕上がりに手間がかかりませんが、上記の画像くらいの線の細さでも大丈夫です。(今回の見本イラストはなぜか侍です…)
データをIllustratorに配置
①[ファイル]→[配置]
Illustratorの新規ファイルを開き、スキャンニングしたデータ(またはスマホカメラで撮った画像)を配置します。
②[ウィンドウ]→[画像トレース]
ウィンドウメニューから画像トレースパレットを出します。
画像トレースでパス化
配置画像を選択した状態で、画像トレースパレットで数値の設定をしていきます。
画像トレースパレットの「詳細」の▼をクリックするとさらに設定箇所が表示されますが、今回の線画イラストの場合は[しきい値]と[オプション]を変更するだけです。
(プレビューにチェックをお忘れなく)
画像トレースの手順
- STEP.1[しきい値]
デフォルトは128になっていますが、これより少ないと線が細くかすれ、多いと線が太くつぶれ気味になります。
見本画像はしきい値の値が左が少なく、右が多くなっている状態です。
- STEP.2[曲線を直線にスナップ]
オプションの[曲線を直線にスナップ]は、手描き感を残したいときはチェックを外しましょう。線が少し丸みを帯びます。
…すごぉーくささやかな変化ですが。
- STEP.3[ホワイトを無視]
同じくオプションの[ホワイトを無視]は、「塗り」の部分を作る場合はチェックを外します。
チェックを入れると線が少し太くなります。色はつけたいけど線は太め希望なら、後からチェック有りのものを上に重ねるという方法もあります。(ズレ注意)
- STEP.4[拡張]を押して完成
画面上部のドキュメントウィンドウにある[拡張]を押してパス化の完成です。
ライブペイントで着色
パスになったイラスト画に色をつけるのは、ライブペイントが便利です。
特にライブペイントの機能[隙間オプション]はなかなかの優れものなので、ぜひ使ってみてください。
ライブペイントの手順
- STEP.1オブジェクトをライブペイントに
ツールバーの[ライブペイントツール]を選択してオブジェクトをクリック。(またはメニューバーの[オブジェクト]→[ライブペイント]→[作成])
下記のようなメッセージが出ますが、「OK」で大丈夫です。
- STEP.2着色する
塗りたい色をスウォッチパネルから選び、ライブペイントのカーソルをオブジェクトの塗りたい箇所に近づけます。赤く囲まれたところが塗りの部分になるので判別しやすいですね。老眼の私には優しい機能…
このライブペイントのカーソルでペタペタと着色していきます。
- STEP.3隙間を埋める
線と線の部分に微妙に隙間があって色を入れたくない箇所にも入ってしまう、という場合は[隙間オプション]を使います。
パスのオブジェクトを選択した状態で、[オブジェクト]→[ライブペイント]→[隙間オプション]→OK。これで隙間を検出して埋めてくれます。
隙間のプレビューカラーで表示された部分が検出された箇所です。(上記右画像…小さくて分かりづらいですが)
- STEP.4完成
影を付けると立体感が出ますね。
まとめと注意
ご自身の手描きイラストをIllustratorでパス化して色を付けるには、画像トレースとライブペイント機能を使えば簡単にできます。
手描き感を失わず(むしろ手描き感が増して)、簡単にデータ化できるので重宝したい機能です。
アレンジの仕方ではいろいろ楽しめるので、ぜひ使い方を極めてみてください。
画像トレースはイラストだけでなく、写真画像もトレースすることができます。
ただし、気をつけたいのが著作権の問題。
たとえフリーの写真でも加工は禁止されているものがほとんどですので、写真を画像トレースして世に送り出すなら、ご自身で撮影したものにしておきましょう。
もちろん、イラストについても同じです。
著作権には最新の注意を払いましょう!