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五味太郎『ヒト ニ ツイテ』少し怖いヒトの本質を知る絵本

初めて読んだ時はまさかの展開に衝撃でした。「ヒト」をヒト以外に説明する機会が訪れたら、この絵本を渡してみます。おそらく警戒されると思いますが…

ミミ

ヒトニツイテ表紙

出典:ヒト ニ ツイテ(五味太郎 作・絵)/絵本塾出版

絵本情報

◆出版社/絵本塾出版

◆著者/五味太郎(作・絵)

◆発行/2015年3月

◆ページ数/32ページ

『ヒト ニ ツイテ』あらすじ

出版社からの内容紹介
主人公の「ヒト」の目の前にあらわれた「宇宙人(らしきもの)」。「ヒト」はそれを「捕らえる」「飼う」「世話をする」、「観察する」「かわいがる」そして……!短いテキストと美しいカラーインクのイラストで、「ヒト」のありようを哲学的に鋭く描いたマボロシの名作。ユーモラスで牧歌的な「ヒト」と他者との交流が、突如、息を飲むセンセーショナルな展開になります。子どもたちは大爆笑、大人は衝撃で言葉を失うことでしょう。




『ヒト ニ ツイテ』みどころ

ヒトが宇宙人を見つけて捕まえたところから、お話ははじまります。

ヒトがどのような行動を取ったかを、「ヒト ハ ミル」「ヒト ハ カンガエル」「ヒト ハ マネ スル」など、短い言葉で淡々と述べられています。

途中、五味太郎さん流のユーモアも交えて、くすっと笑いながらするする読み進めていくと、ある衝撃のページが。

みどころは、まさにこのページです。

ヒトの残酷な一面が、前ページと同じように淡々と述べられていて、ページをめくる手を止めずにはいられない。

その後に「ヒト ハ ワスレル」という愚かとも強さとも取れる言葉。

読み終わった後、何かを確認するようにまた読み返してしまう。

そしてあの衝撃のページがあったから、「ヒト ハ ミル」「ヒト ハ カンガエル」「ヒト ハ マネ スル」などの言葉の深さを改めて考える。

最後のページは「ヒト ハ …」で終わっています。

「…」には、どんな言葉が適切だろう?と、最後までヒトについて考えさせられる絵本。




「怖い」と思うのは大人

この絵本を「怖い」と思うのは、ヒトの残酷で愚かな部分が自分にも当てはまる、と思う大人です。

残酷な部分も生きていく上で大切なことだけど、ヒトの本質とは…とつい難しく考えてしまいますが、子供はそこまで難しく考えません。

内容が哲学的で少し難しいかな?と思われるかもしれませんが、出版社さんからの説明にもあるように、子供はケラケラ笑って読んでいました。

言葉が短くて端的な表現なので子供にとっては読みやすく、ユーモラスな絵にも面白さを感じるようで、そんな子供のツボを押さえているところは、さすが五味太郎さんです。

子供にはこの絵本の言葉の深さを感じるのは、まだまだ先でいいと思います。

この『ヒト 二 ツイテ』を読みながら「こんなこと、あるよね」「これはかわいそう」「お母さんはこう思う」と、『ジブン ニ ツイテ』子供と一緒に語り合うのも、いろいろな発見があって楽しいですよ。




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