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印刷の保存形式、間違っていませんか?入稿データを完璧にして印刷ミスをなくそう

入稿したデータ不備で戻ってきてしまった。なになに…このデータ形式では印刷できません…データ形式ってナニ?

ミミ

せっかく完成させて入稿したものが、データ不備で印刷会社から戻ってきてしまったり、自分の意図とは違った形で印刷されてしまったり。

長年印刷に携わる仕事をしていると、何度かこのような経験をして、その度に胃が痛くなっていました。

データが戻ってくるなら、むしろ印刷会社さんに感謝です。

ミスしたまま印刷されてしまった時のあの絶望感…できることなら入稿前に時間を戻してください!と何度祈ったことでしょう。その祈りはいつも届きません…

私のようなことのないように、入稿データにミスがないか、自分でチェックできるだけの知識を身につけておきましょう!




原画入稿とデータ入稿

今回はデータ入稿について取り上げていますが、他に「原画入稿」もあります。

原画入稿

原画入稿とはその名の通り、原画を印刷会社に入稿することです。

絵本のような原画にはトレーシングペーパーを付けて、ページや文字の書体、サイズ指示などを書き込みます。原画の他に、ページ割りが分かるようにしたテキストも一緒に付けて印刷会社に渡します。

データ入稿

データ入稿とは、パソコン上で作成したもの、または原画をスキャンニングしてデータ化したものを、印刷会社に入稿することを言います。

原画入稿よりも、いろいろと細かな知識が必要となります。




Adobeソフトについて

今はデジタルでイラストを描くためのソフトはたくさん出ていますが、印刷に対応しているものはまだそれほど多くありません。

各印刷会社の対応ソフトを見ると、Adobe Illustrator、Adobe Photoshop、AdobeInDesignなどAdobeソフトが主流です。

なので今回はAdobeソフトのデータ入稿についてご紹介していきます。

Adobeソフトはいくつかありますが、印刷データには主に上記3つのソフトのいずれかを使います。

それぞれの機能の特徴を簡単に言うと、

  • Illustrator → お絵かきソフト
  • Photoshop → 写真加工ソフト
  • InDesign → ページレイアウトソフト

 

技術が発達するにつれて、それぞれソフトが他のソフトの機能を備え付けていて(IllustratorでPhotoshopのような加工ができたり、逆も然り)、今は使い分けがあいまいになっている感じですね。




各ソフトの保存形式

まず、完成したデータを印刷するためには、完成データとは別に印刷用のデータを作る、という作業があります。

印刷用データにするためには、ソフトによっては保存形式を変えなければいけません。

その保存形式にはいくつか種類があり、拡張子(ファイル名の後ろに.◯◯◯と入る文字列。.jpg、.ai、.pdfなど)でファイルの種類を識別します。

例えば、Indesignのデータを通常保存すると拡張子は「.indd」ですが、印刷会社の入稿データの指定が「pdf入稿」となっていれば、「.indd」から「.pdf」に保存形式を変える必要があります。

下記に各Adobeソフトの一般的な印刷保存形式をご紹介しておりますが、印刷会社によって異なる場合があるので、必ず入稿時に確認をしましょう。

基本的に印刷会社のホームページに入稿手順の記載があるので、よく分からないところは問い合わせてみるのが安心安全です。

Illustrator 保存形式

ai(推奨) eps pdf

Illustratorは通常保存の ai での形式を推奨されています。CS以前のバージョンではIllustratorの入稿は eps が主流でしたが、新しいバージョンでは不具合が起きることがあり、今では ai 保存が一般的です。印刷会社からIllustratorのテンプレートが支給されていたら、そちらを使って作業をするのが一番安全です。

配置画像は「埋め込み」または「リンク」で画像収集をします。埋め込みはファイルに画像を埋め込むので、完成データはaiファイルのみとなりますが、データは重くなります。リンクで画像を収集した場合は、aiデータと収集した画像データが必要となります。

 

Photoshop 保存形式

eps(推奨) psd jpg tiff

eps 保存が安定していてトラブルが少ないという点で、Photoshopの保存形式として推奨されています。psd はテキストがあると文字化けなどの恐れがあるため、注意が必要です。また、tiff は設定によってはかなりデータが重くなります。

 

InDesign 保存形式

pdf(推奨) indd

InDesignはページ物の制作で使用するため、配置画像など素材が多くなってしまうのですが、pdf 保存であればpdfファイルのみが入稿データとなるので管理がしやすいです。ただし、入稿後の修正などは印刷会社では対応できませんので、ご注意ください。

InDesignは配置画像のリンクが外れていても画面上では気づきにくく、そのままPDFに変換して入稿してしまうと、リンクの外れていた画像はぼやっとした状態で印刷されてしまいます。画像を収集してから入稿データを作るようにしましょう!




入稿データのチェック項目

印刷用の保存形式にする前に、以下の入稿データのチェックをお忘れなく!

  • Check1
    トンボはつけていますか?

    注文指定サイズと一致しているかも要確認。

  • Check2
    【カラー】CMYKになっていますか?
     カラーがRGBになっていると色が変わって印刷されてしまいます。 
  • Check3
    【カラー】特色を使っていませんか?
     Illustrator InDesign スウォッチパレットの右下に白い三角と黒い点のついたものが特色です。

    特色を消したい場合は、この登録されている特色パレットをゴミ箱に入れます。使用していた色はCMYKに変換されます。

  • Check4
    文字はアウトラインされていますか?

    Illustrator 書式→フォント検索でドキュメントフォントが「0」になっているか確認しましょう。

  • Check5
    アピアランスの分割はしましたか?

    Illustrator アピアランス処理をしたものは「アピアランスの分割」をします。

  • Check6
    配置画像の確認

    Photoshop 解像度が300〜350dpiになっていますか?

    Illustrator〈埋め込みの場合〉配置画像すべてに埋め込み処理がされていますか?

    Illustrator InDesign〈リンク画像の場合〉リンク切れの画像はないですか?

  • Check7
    塗り足しの確認

    仕上がりのサイズよりはみ出す部分は、3mm余分に塗り足してありますか?

    なるほどアイコン【印刷用語】知っておけばトラブル回避につながります
  • Check8
    オーバープリントの確認

    Illustrator InDesign 基本的にチェックは入れませんが、印刷会社によって異なるので要確認。オーバープリントでのトラブルは比較的多いので、よく確認しておきましょう。

    Illustrator画面

    上:Illustrator、下:InDesign

  • Check9
    確認用のPDFを作る

    仕上がりの見本用のPDFを作り、入稿時に一緒に添付します。見本と違うところがあれば連絡していだけるかもしれません。ファイル名は確認用ということが分かるようにしておきましょう。

  •  

 

最後に

何十年も印刷に関わる仕事をしていても、入稿データを作るときはいつでも緊張します。

最終的に形になったものが作品の全てなので、この緊張感は必要だと思っています。

みなさんも、ご自身の大切な作品をきれいな形で世に送り出すため、緊張感を持って入稿作業にのぞみましょう!




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